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「欧州妖異譚4 アドヴェンド~彼方からの呼び声~」篠原美季 [小説]





英国妖異譚 2012年かわい千草カレンダー

英国妖異譚 2012年かわい千草カレンダー

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/12/06
  • メディア: カレンダー


欧州妖異譚シリーズ第4巻目です。今回はタイトルのとおり、時期的にはクリスマス期間の話です。
今回はユウリが父親のフォーダム博士の代理で、アメリカ人の旧友が引退記念にドイツの古城で開催するクリスマスコンサートに参加することになるのが、話の発端です。

ただ、登場人物がほとんと英国妖異譚からのメンバーなので、もう、続きとしかいいようがない・・・
今回は、英国妖異譚の最後、番外編3で登場した天才ヴァイオリニスト、ローデンシュトルツが登場します。

欧州妖異譚のはじめのころのような、悪魔っぽいものは、今回はあまり表だって出て来ていません。
ただし、今後、ラルフ・ローデンシュトルフやキース・ダルトンは準レギュラー化するような気がします。
シモンの従姉妹のナタリーは、このシリーズになってからどこにでも現れてきますけど。
まだ4巻目。さあ、どう進んでいくのか。

帯では相変わらず、あおっています。
「ユウリの保護者の座を巡って、シモンとダルトンが対立!『寝ずの番なら、僕がしますよ』」
別に対立ってほどじゃなかったですけどね。でも、こっちの方はどうなるのか興味津々です。
もっともユウリは相変わらず天然です。

p228
「なんだかんだ言って、僕は、アシュレイのことをあまりよく知らないが、あいつは、どこまで非道だと思う?」
「そうですね」(中略)
「こうして、僕が生きているので、少なくとも、百パーセントの死地に追いやることはないと思いますが、運も含め、相当がんばらないとならないくらいの、つまりは、運が悪ければ死ぬかもしれないくらいの窮地であれば、遠慮なく叩き落としてくれますよ」
「ーそれで、よく付き合いを続けているな」

ちなみに、この話がクリスマス。そして、シモンはこの後、ユウリと日本で年末年始を過ごす予定、ということになっていますが、その日本でのショートストーリーが、来年のカレンダーについてきます。

「英国妖異譚 特別編 ユウリとシモンのゆく年くる年」
カレンダー自体は、文庫本の表紙の絵です。B5サイズと文庫本よりも大きくなっているだけなので、目新しいのは、・・・この短編です。冊子というよりもジャバラになっていて、表紙・裏表紙を入れて16ページ(本文14ページ)ですが、これは、まさに今年の年末用です。きっと、あとで短編集などに収録されるかなあとも期待するのですが、平成24年のカレンダーに同梱されることで、タイミングぴったりという感じです。

大晦日、除夜の鐘が聞こえる中、八坂神社の近くを歩いていた、ユウリとシモンが遭遇した出来事。そう、遭遇しちゃった大事件の話です。
これはやはり、うさぎ年のうちに読んだ方が、おもしろい感じがしますけどね。
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「彩雲国物語 紫闇の玉座(上)」雪乃紗衣 [小説]


彩雲国物語   紫闇の玉座(上)   (角川ビーンズ文庫)

彩雲国物語   紫闇の玉座(上)   (角川ビーンズ文庫)



彩雲国物語は本編17巻目、外伝は4巻。
今月の新刊の帯は「堂々完結」完結巻(下)7月1日発売予定
そう、2ヶ月続きで新刊が出て、それで完結、とのことなので、本編18巻で完結予定です。

紅州に迫る蝗の大群。藍州の水害。地震の多発など、彩雲国の要の神器が破壊されたことにより起こす災厄。
秀麗だけではなく、それぞれが、それぞれの信じるままに最善をつくそうとする
立場が違っていても。

デビュー作である第1巻から比べると主人公の紅秀麗の成長が著しいです
それだけに、最終巻というと、ずっと読んでいたい思いと、行き着く先を確認したいことと複雑な感じです。

【本日の言葉】
p88
「…さあ、僕も行こう。最悪よりマシなだけの世界さえ、守れなくてどうするよ」

p271
「…矛盾にはね、誰もが気づくんですよ。切り捨てられたことに意味があるなら、いい。でもそうでないなら、私たちには怒る資格がある。」


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「鬼神伝 鬼の巻」「鬼神伝 神の巻」高田崇史 [小説]


鬼神伝 鬼の巻 (ミステリーランド)

鬼神伝 鬼の巻 (ミステリーランド)




鬼神伝 神の巻 (ミステリーランド)

鬼神伝 神の巻 (ミステリーランド)

  • 作者: 高田 崇史
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/04/28
  • メディア: 単行本



鬼神伝 (講談社ノベルス)

鬼神伝 (講談社ノベルス)

  • 作者: 高田 崇史
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/10/07
  • メディア: 新書


久しぶりに本棚を整理していたら、講談社のお子様(ジュニア)向けハードカバー、ミステリーランドのシリーズを発掘しました。
「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」ミステリーランドということで、全巻書き下ろしです。昨秋、講談社のノベルスでも発売されたようです。

話の内容は、中学生の少年が異世界(平安時代らしいですけど、鬼がいる平安時代です)に飛ばされてしまい、オロチを復活させ鬼と戦う・・・のですが・・・

どうして鬼は桃太郎に退治されなければならなかったのか
どうして節分には鬼に豆をぶつけるのか
「鬼」とは何者なのか

高田崇史さんの小説は、QED や カンナ でも、ミステリー仕立ですが、滅ぼされた神々や失われた歴史についてのうんちくがおもしろいので、そのベースとなるような歴史観が表れていると思います。


【今日の言葉】
「神の巻」p265
「では愛を持って立ち上がれ!愛のない勇気は暴力だ。そして勇気のない愛は無力だ!」




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「グイン・サーガ外伝22 ヒプノスの回廊」栗本薫 [小説]




グイン・サーガの最後の新刊です。作者の栗本薫さんが2009年にお亡くなりになっているので、いままでの文庫本未収録短編集です。そのため、以前に読んだ話が多かったのですが、このタイトルの「ヒプノスの回廊」は、まさにグインの過去に関わる話なので、書かれなかったグイン・サーガを垣間見れた気がしました。

「前夜」 アニメ グイン・サーガDVD1巻についていたブックレット掲載作品で、まさに第1巻で、モンゴールがパロに侵攻する前夜の平和なパロ宮廷の一幕です。これがほしくてアニメDVDを買ったので、ちょっと悔しい感じ。
「悪魔大祭」1982年に雑誌JUNEに掲載されたもので、グイン・サーガではなく、パロの闇王国を舞台としたトワイライト・サーガの系統です。
クリスタルパレス・殺人事件 ナリスの事件簿」グイン・サーガ・ハンドブック2に掲載されたもの
「アレナ通り十番地の精霊」グイン・サーガ・ハンドブック3に掲載
「ヒプノスの回廊」2006年に「PANDORA」掲載
 ランドック、アウラなど、グインの謎の部分の話です。こんな話が出ていたのですね。
「氷惑星の戦士」SFマガジン1979年3月号。グイン・サーガではないです・・・

この短編集では、「ヒプノスの回廊」が初めてでしたが、他はたぶん読んでいます。
古い作品、悪魔大祭と氷惑星の戦士は、グインサーガとは別の世界(時間?)の話ですが、読んでいる内に記憶が・・・

この文庫の帯に興味深いお知らせがありました。
今年の5月から「グイン・サーガ・ワールド」という雑誌形式の文庫本が季刊で刊行するとのこと。そこで、グイン・サーガの世界をいろいろな人で書き継いでいくという企画だそうです。情報は随時、ハヤカワオンラインで伝えていくとのこと。ちょっと不安だけれども楽しみです。

http://www.hayakawa-online.co.jp/news/detail_news.php?news_id=00000398
http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/21021.html
                     
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「欧州妖異譚1 アザゼルの刻印」篠原美季 [小説]





「英国妖異譚」シリーズの続編です。一応新シリーズなのですが、メインの登場人物が変わらないので、やはり英国妖異譚シリーズを読んでいないと、話が見えないと思います。
ということで、「大学編」スタートです。

英国妖異譚は、イギリスの片田舎のパブリックスクール、セント・ラファエルを舞台に、日英ハーフで霊能力を持つユーリ・フォーダム、フランスの大事業家でもあるベルジュ伯爵家の御曹司シモン、アシュレイ商会の秘蔵っ子で「魔術師」とも表されるアシュレイがメインの登場人物です。
舞台にふさわしくケルト伝説の妖精たちが登場してくる話だったのですが、だんだんとキリスト教色が強くなり、結局ユーリの聖杯探索の話になりました。

今回大学編では、タイトルの「アザゼルの刻印」をシリーズタイトルにしようとしていたとのことですが、そういう意味では、今回は悪魔の復活?になるのでしょうか。

ということで、なつかしのセント・ラファエルのみんなは出てこないのですが、講談社X文庫のページに、「季節外れのセレモニー」という短編が掲載されています。こちらのアザゼルの刻印を読んだ後に読むと、なつかしく、ほんとうに「お帰りなさい」という感じです。
なお、結構細かいアンケートに答えないと読めません・・・
http://shop.kodansha.jp/bc/books/x-bunko/enquete/index.html

【本日の言葉】
p121
人には、知らされるべき知恵と、知るべき知恵があります。
知らされるべき知恵は容易に知れますが、
知るべき知恵は、簡単には明かされません。

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「我、天命を覆す 陰陽師安倍晴明」 結城光流 [小説]


我、天命を覆す  陰陽師・安倍晴明

我、天命を覆す 陰陽師・安倍晴明



角川ビーンズ文庫の「少年陰陽師」シリーズの外伝的なものです。文庫では晴明の孫が主人公なので、晴明はじじさま(時々昔の若い姿を取る)ですが、ここでは、その晴明の原点となるような出来事が描かれています。

まだ陰陽生でもなく、「狐の子」という噂の中で周囲から浮いていた晴明は、榎笠斎に強引につれていかれた葵祭で、暴走した牛車を止めて、橘氏の姫君を助けます。しかし、姫君は恐ろしい化け物につきまとわれており、牛車の暴走もその化け物の仕業だった。晴明はその化け物を倒すために、十二神将を式に下そうと考えるが・・・

当然のことながら、そのあとの時代の話を本編で読んでいるので、結果は分かっているのですが、読んでいて引き込まれます。というか、すでに読んでいるからこそ、十二神将のそれぞれのキャラクターが分かるため、最初はこうだったのかぁ~といった感じです。

【本日の言葉】
p231 「必要とあらば、神すらも式に下す。ーーー力づくで」
p261「ひとつ答えろ、陰陽師」「お前、これまでに一体どれほど手にかけた」
   「さてな。払った火の粉を数えて、それになんの意味がある」
p262 助けることもあれば、殺めることもある。光も知れば闇も抱える。
   手にかけた命は無数にあり、背負った咎も無数にある。
   だがそれがなんだという。
   誰もがそれを知りながら、目を逸らしているだけのことではないか。
   この手は幾度も血に濡れて、どれほど洗い流してもこびりついた穢れはもう落とせない。
   そういったものすべてを負っているからこそ、陰陽師なのだから。

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「英国妖異譚番外編3 メフィストフェレスの誘惑」篠原美季 [小説]




英国妖異譚の本編第一部は21巻で完結しましたが、番外編が出ていて、その3巻目です。しかも、この話は第2部の話が出るまえは、最終回のラストシーンなる予定だったというエピソードです。

卒業前の春祭で、シモンとバッハの「2つのバイオリンのための協奏曲」を弾くことになったユウリ。シモンのバイオリン、「グァルネリ・デル・ジェス」に対抗して?、ユウリにバイオリンを貸与したいという申し出が2件あった。
ユウリはそこで、卒業生であるヴァイオリニスト、ローゼンシュトルフから提供されたものを選ぶ。それは、2年前の思い出につながるものだった。
2年前、番外編2出来事のあとシモンと同室になったユウリ。同室のシモンとの距離感がつかめず、悩んでいた時期の不思議な出来事。
本編の舞台になる前、シモンがまだユウリの不思議な能力に気がつく前の話です。
ユウリを助けるのは、なんと日本から遠隔操作で隆聖さんです。

これを読み終わったとき思ったのは、シモンもまだ若いなあ(笑)というか、変に真面目すぎて周りが見えていない時期があったんだ・・・ということと、本編ではこのあと亡くなってしまったヒューは、いいやつだったんだなあと。この後の展開が分かっているだけに、今更ながら惜しい気がしてなりません。

ヒューというと、まったく別の話なのですが、内田善美さんのマンガ「星の時計のLiddel」を連想しました。ここのヒューは「幽霊」になってしまうので、そういう意味でも連想したのかもしれないのですね。やはり、いい人、ですから。

それにしても、弱気なシモンというのも珍しい。

あとがきによると、次は「新シリーズ」ということですが、・・・・・2部大学生編ではなくって、新シリーズ?
誰が主人公?すごく気になります。個人的には、ユウリは登場してほしい。
何しろ最終巻がああいう終わり方だったので、ユウリの登場は絶望視していたのですが、携帯で連載された短編が番外編2として発売され、大学生のユウリが登場しているので、期待が出てきてしまった。
第2部の話がなければ、こっちがラストシーンだったということは、月の都は2部への布石???
気になります・・・

p183
大人になってから感情に振り回されると、ロクなことにならない。誰もが、それほど柔軟ではなくなっているからね。だから、代わりに、知恵をつけて無難に振る舞うようになる。だが、もともと感情というものは、頭で理解するものじゃない。理性で抑えられるものではないんだ。ーーでは、どうするか?
何度も何度も実体験を繰り返して、飼い慣らすしかない


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「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」岩崎夏海 [小説]




小説なんだけれども、ビジネス書の棚にありましたし、たしかにビジネス入門書だと思います。
主人公は川崎みなみ。思いも寄らぬ事情から高校の野球部のマネージャーになりました。
ところが、そもそも「マネージャー」は何をするのか、それを調べるために本屋で「マネージャーやマネジメントに関する本」で「世界で一番読まれた本」を購入します。それが、ドラッカーの「マネジメント(エッセンシャル版)」だったと言うわけです。

最初、本屋のベストセラー棚に並べてあるときには、この軽そうな表紙(笑)じゃ、なんかあんまりビジネス書としては効果がなさそうな気がして、となりの本家本元の「マネジメント」を手にとってみました。すると、エッセンシャル版というだけあって、名言集のようで、自分がいきなりこのマネジメントを読んだら途中で飽きるだろうという予感がひしひしとして、棚に戻しました。で、こっちは小説だし・・・と思って見てみると、意外にも、しっかりと「マネジメント エッセンシャル版」のページ数までも入って引用されていました。(同じ出版社ですね)

ビジネス書はいろいろ買っているので、ここで主人公のみなみちゃんのように、1冊をバイブルとして決めることはする気がなく、まあ1冊読んでいくつか参考になることがあればいいのかなというレベルですので、こういった小説の中の話として読むと、イメージがわいてしっかりと記憶に残る気がします。

比較的最初の方で、みなみちゃんは「顧客は誰か」と悩むところがあります。高校の野球部の顧客なんて・・・普通に考えると、そんなもんあるわけないじゃんと思うのですが、主人公は真剣に考えます。そうなると読者としても、まあ高校野球部でも無理矢理当てはめると何かなあと考えることになります。こんな感じで、マネジメントとは全く関係ないような高校野球部というケースに当てはめて、考えていくことで、ケーススタディになっています。

小説自体は、設定がちょっと強引で文章が小説っぽくない気がしますけれども、軽いノリでどんどん読めます。
いちばん最後に宣伝で「みなみちゃんが本の中で参考にしたのはこの本です」と「マネジメント」の宣伝が出ています。「本書の後なら意外に楽しく読めるはず」とありました。まだ買っていないのですが、小説の例を当てはめてイメージすれば、ちゃんと読めるかなとも思います。

p125
「部員たちが練習をサボっていたのは、『消費者運動』だったんだ。彼らは、練習をサボるーーつまりボイコットすることによって、内容の改善を求めていたのだ」
「これまでのマーケティングを生かして、部員たちがボイコットせず、思わず参加したくなるような、魅力的な練習メニューを作ってほしい」
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「彩雲国物語 蒼き迷宮の巫女」雪乃紗衣 [小説]


彩雲国物語 蒼き迷宮の巫女 (角川ビーンズ文庫)

彩雲国物語 蒼き迷宮の巫女 (角川ビーンズ文庫)



彩雲国物語、外伝4巻をいれると20巻目ですね。完結目前・・と帯に書いてありますが、次の巻までは「お時間を頂くことになるかと思います」とあとがきにありました。早く読みたいような、終わってほしくないような・・・複雑な感じです。

今回は藍楸瑛がかっこよかった。いままでは、やっぱり、優秀だけどちょっと甘い御曹司といったイメージから、やっと本気になったわね、という感じ。

主人公の紅秀麗とともに標家の宮にいる藍楸瑛とかリオンとかとは別に、史上最悪の大災害に対応する重臣たちの話も今回は重要な場面でした。

彩雲国物語は「少女小説」といわれる部門に入るのですが、主人公ががんばる女性官吏ということで、だんだん政治というか(国王が)国を治めることについて、作者の考えも変わってきているように思えました。

最初のころの主人公の秀麗のように、目の前で困っている人がいたら全力でその人を助けようとする熱意。もちろん、それは大切なことなのですが、では目の前にいない人についてはどうするのか?
全てを助けられればそれが一番。しかし、どれかを選ばなければならないとき、どれかを切り捨てられるのか?

今回、国王である劉輝と、多くの高官から頼られている旺季との会話が、いろいろ考えさせられる内容でした。
p208
「…嫌いなもののために、ここまできました。あなたのように『好き』なもののためになど考えたこともありません。民や誰かの望みを叶えようなどと思ったことも、そんなのが政事の役目だと思ったことも一度もありません。単なる自己満足でしかない」
「……え?」
「……私が陛下にこんなことを申し上げるのは、これっきりとお思いください。ー少なくとも私は、臣下や民の『望み』を次から次に叶えるのでなく、民の『嫌いなもの』を減らすのが政事と思ってここまできました。飢饉や旱、水害、疫病、天災の備えと対処、偏見、差別、不正、根拠のない迷信をなくすこと……減らさなくてはならない『嫌いなもの』は山積みで、何をしたらいいのかわからないと、迷ったこともありません。正しいとか、間違っているとか以前に政事がやらねばならぬことです。それに関する他人の評価を気にかけたこともなければ、それをしたことで臣下や民から好かれるとか嫌われるとか、思い悩んだこともありませんな」
(略)
「嫌いなもののためにここまできた私は、愛するもののために玉座に在るあなたを、そのやり方を、信じることはできません。好きでないものは後回しになり、置いてけぼりです。私たち門下省にずっとされていたように。…陛下、あなたが無視なさっていた間も、私たちはいたのです。あなたにお仕えするため、臣下の一人として、お傍にいたのです。:…」

旺季の言うことに、もっともだと思う一方、具体的に考えていくと、「民の望みを次から次へと叶える」ことと「嫌いなもの」をなくすことのためにやることは、やはり同じなんじゃないかと思ってきます。
飢饉のときに、もっと食べ物がほしいという望みを叶えることと、ひもじい思いはいやだという民のいやなものをなくすためにやることは、少なくとも短期的な行動は同じなんじゃないかと。
でも、違うのはその「後」どうするのか。食べ物を配るだけでは、きりがない。とりあえず必要なのは「食べ物」でもそれと同時に長期的な政策をどうできるかどうか。

今回の話で興味をもったのは、この「民の望みを次から次へと叶える」ことが「政事」の役目ではないというセリフです。なんか、思わずそうだよねえと思ってしまいました。
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「英国妖異譚20 エマニア~月の都へ」篠原美紀 [小説]




講談社X文庫ホワイトハート「英国妖異譚」シリーズ第一部、英国のパブリックスクール舞台の麗しいオカルト・ファンタジー。第一部ユウリの聖杯探求の旅は終了です。シリーズ開始からほぼ8年、20巻+外伝のシリーズとしては、まあまあのペースだと思います。

主人公(だと思う)ユウリはフォーダム子爵の子息ですが日本の霊能者の一族の血を引いています。フランスの伯爵家の子息のシモン・ド・ベルジュ、アシュレイ商会の息子で母方で中国の有力者の一族でもあり怪しい噂の絶えない「魔術師」コリン・アシュレイなど、華麗な登場人物がたくさん出てきます。

最終回のストーリーはタイトルのとおり、まさに「月の都へ」です。ケルト神話の色濃いストーリーでしたが、やはり「かぐや姫」。シリーズの最終巻にしては、かなりあっけない終わり方というか、やはりというか。

もしかしたら・・・あのときに「守護」を人に渡していなかったら・・・
ストーリーとしてはたしかに完結なのですが、途中の季節季節の学園生活が光に満ちていただけに、もしあのとき・・・というのを考えてしまいます。せめて、もう一度・・・
ただ、年内にもう一冊番外編が出るそうなので、そこは期待しています。

第2部は大学生活で、魔法書探求になるらしいです。

 
【本日の言葉】
p309
「冗談事ではなく、オスカー。僕は、正直言って、君を助けられるかどうかわからないんだ。でも、最大限の努力はする。君が死ぬときは、もう僕が生きていない時だと思ってくれたらいいーーだから、僕を信じて、ついてきてくれる?」

p336
「探求は、いつでも危険なものですよ」
「だったら、僕がそばについていて守ってあげたいと思うのは、当然だろう?」
「守れる力があるなら、そうでしょう。けれど、そなたは違う」

p338
探求において、最も恐ろしい敵は雑念だ。それを知っているユウリは、ただ課せられた運命をやり遂げるためだけに、前に進んでいった。



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